- 頭が痛い・重い
- 頭を打った
- めまい・ふらつき
- 喋りにくい・会話が成り立たない
- 力が入らない
- 手足のしびれ
- 歩きにくい
- 目の症状
- もの忘れ
- 顔の気になる症状
- 顔のゆがみ
- 意識を失う
- けいれん発作(てんかん)
- 生活習慣病
- 認知症
- 脳神経外科でよくある疾患
頭が痛い・重い
頭痛は、年齢や性別に関係なく多くの人が経験する症状で、日本では15歳以上の「3人に1人」に頭痛が生じています。頭痛は大きく「一次性頭痛」と「二次性頭痛」に分類され、一次性頭痛は生命の危険がないものの、日常生活に支障を来すことがあります。二次性頭痛は何らかの脳の病気が原因で起こる危険な頭痛です。
緊張型頭痛
緊張型頭痛は、日本人に最も多く見られる頭痛の一つで、頭や後頭部が締め付けられるように感じられることが多い症状の頭痛です。長時間のデスクワークやスマートフォンの使用、長距離運転などが原因で筋肉が緊張し、頭痛を引き起こします。ストレスや精神的な緊張もこの頭痛の要因です。
この頭痛は、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用、ストレスなどによって肩や首の筋肉が緊張し、その結果として筋肉の収縮が持続することによって発生します。眼の疲労や睡眠不足も原因となることがあります。
治療には、肩こり体操や低周波治療や、鎮痛剤や筋緊張改善剤、抗不安薬などの薬物療法が用いられます。
片頭痛
日本人の約8.4%は片頭痛持ちと言われています。痛みは「片側」だったり「両側」だったり、「ズキズキ」したりしなかったりと個人個人で多少異なりますが国際頭痛分類により診断基準が定められています。
近年では片頭痛に伴う労働遂行能力低下(プレゼンティーズム)が問題になっており、本邦では年間約3600億~2兆3000億円の経済的損失があるとも言われています。
片頭痛患者は「頭痛発作時」のみならず頭痛と頭痛の間の「発作間欠期」にも支障を抱えていることが近年指摘されており、また患者を取り巻く家族にも影響を与えることが知られています。
そのため頭痛に対する「適切な急性期治療(頭痛薬)」だけでなく、発作の頻度と程度を下げるための「予防療法」を行うことがあります。
本邦では2021年より「CGRP関連抗体薬」を用いた予防療法が行われており、効果を上げております。
当院では頭痛専門医でもある院長が、診断から「CGRP関連抗体薬」も含めた治療まで行っております。
群発頭痛
群発頭痛は、特に男性に多く(女性の3~7倍)見られる頭痛で、片側の目にえぐられるような強い痛みが起こる頭痛です。頭痛発作時には「涙が出る」「鼻水が出る」「痛くてじっとしていられない」などの症状を伴います。群発期には頭痛は定期的に起こり、1~2ヶ月続くことがあります。突然激しい痛みが10分から3時間ほど続きます。
群発頭痛にも「適切な急性期治療(頭痛薬)」だけでなく、「予防療法」を行うことがあります。
治療では、スマトリプタンの皮下注射や純酸素の吸入療法などを行います。
脳卒中
脳卒中は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血を含む総称です。頭痛を伴う脳卒中の代表的な病気には、脳出血、くも膜下出血、脳動脈解離などがあり、いずれも緊急で専門的な治療が必要な二次性頭痛です。
脳卒中は、生活習慣病と密接に関連しています。高血圧、糖尿病、脂質異常症などが脳卒中のリスクを高める要因です。
脳卒中の治療は迅速な対応が求められます。発症後すぐに適切な医療機関での治療が必要です。また、生活習慣病の管理も重要で、定期的な検診と適切な治療が脳卒中の予防に役立ちます。
頭を打った
頭部を打った後、以下の症状が現れた場合は早急に受診をおすすめします。特に頭部CT検査は、頭蓋内出血や頭蓋骨骨折の評価に有効です。
子供の場合
- 元気がなくなる
- 吐き気や嘔吐
- 意識がない
- いつもと比べて違う
大人の場合
- 記憶喪失
- 頭痛や吐き気
- 手足のしびれや脱力
- 打撲後1-2ヶ月での麻痺や認知症症状(物忘れ)
めまい・ふらつき
めまいやふらつきの原因はさまざまであり、以下の症状が見られた場合は脳神経外科や耳鼻科の受診が必要です。
- 天井がぐるぐる回るように感じ、眼も開けられない
- 起き上がると急にめまいがする
- 船酔いのようなふわふわ感
- まっすぐに歩けない
これらの症状の背後には、脳梗塞や脳腫瘍などの脳神経外科的疾患がある可能性があります。頭部CTやMRI検査で脳の状態を確認することが重要です。
喋りにくい・会話が成り立たない
以下の症状が急に現れた場合、脳梗塞や脳出血の可能性があります。
- ろれつが回らない
- 言葉が出てこない
- 聞いた言葉が理解できない
迅速な診断と治療が必要であり、頭部CTやMRIで確認します。
力が入らない
次のような症状が見られた場合、脳梗塞や脳出血の可能性が高いです。
- 片方の手足に力が入らない
- 箸を使うのが困難、字がうまく書けない
- 茶碗やコップを落とす
- 歩行時に片方に傾く
一過性脳虚血発作の可能性もあるため、頭部CTやMRIでの早期診断が重要です。
手足のしびれ
以下の症状がある場合、脳出血や脳梗塞、脊椎変性疾患の可能性があります。
- 片方の手足がしびれる
- 手の指や肩から腕にかけてのしびれ
- 両足のしびれ
脊椎や脊髄のCTやMRI検査が必要です。
歩きにくい
次の症状が現れた場合、脳出血や脳梗塞、水頭症、パーキンソン病などが疑われます。
- ふらふらして安定感がない
- まっすぐに歩けない
- 歩幅が小さくなり、よちよち歩きになる
頭部CTやMRIでの早期診断と適切な治療が必要です。
目の症状
以下の症状が見られる場合、脳の病気が原因の可能性があります。
- 物が二重に見える
- 視力の急な低下
- 視野が狭くなる
- 片方の目が一時的に暗くなる
- 片方の瞼が垂れ下がる
脳腫瘍や脳出血、脳梗塞、一過性脳虚血発作、脳動脈瘤などが疑われ、頭部CTやMRIでの診断が必要です。
もの忘れ
認知症の初期症状として以下の症状が見られることがあります。
- 物忘れが多い
- 料理の手順を間違える
- 怒りっぽくなる
- 活力の低下
認知症の原因として、老人性認知症、血管性認知症、アルツハイマー型認知症、水頭症、慢性硬膜下血腫などがあります。早期発見と適切な治療が重要です。
顔の気になる症状
片側顔面けいれん
原因:脳腫瘍が原因となることもありますが、多くは脳動脈硬化による蛇行血管が顔面神経を圧迫することが原因です。改善には手術が必要な場合があります。
三叉神経痛
原因:脳腫瘍が原因の場合もありますが、主に脳動脈硬化で蛇行した血管が三叉神経を圧迫することが原因です。手術により症状の改善が可能です。
顔のゆがみ
顔面神経麻痺
原因
中枢性と末梢性があります。中枢性の場合は脳卒中や脳腫瘍によって引き起こされる場合があります。症状に応じた治療が必要です。
頭部CTや頭部MRI検査を行うことで、これらの症状の原因を特定し、適切な治療法を選択することが重要です。
意識を失う
けいれん発作(てんかん)
生活習慣病
生活習慣病は、不適切な生活習慣が原因で体が老化し、動脈硬化が進行することです。この状態を放置すると、脳梗塞や心筋梗塞などの重篤な病気を引き起こすだけでなく、肌質の低下やED(勃起不全)、さらには透析が必要になることもあります。
以下のような指摘を受けた場合は、早急に医療機関を受診してください。
血圧が135mmHg以上、または85mmHg以上
悪玉コレステロール(LDL)や中性脂肪(TG)が高い
善玉コレステロール(HDL)が低い
肥満傾向がある
糖尿病の疑い
動脈硬化とは
動脈硬化とは、血管が年齢や生活習慣の影響で老化し、柔軟性を失って硬くなる状態を指します。若い時の動脈は、新しいゴムホースのように柔軟で弾力がありますが、加齢とともに、そして高血圧や糖尿病といった生活習慣病や不健康な生活習慣が続くことで、徐々に硬くなり、庭に放置された古いホースのように弾力を失います。これが動脈硬化であり、血管が詰まったり裂けたりする原因となります。
動脈硬化が血管に与えるダメージ
動脈硬化は、血管の内壁にある内皮細胞が傷つき始めることから進行します。内皮細胞は血液の流れをスムーズに保つ重要な役割を果たしますが、高血圧や高血糖の状態が続くと、この細胞にストレスがかかり、損傷します。30代から40代にかけて、内皮細胞にストレスが蓄積されると、血管の内壁に柔らかい沈着物が溜まり、内膜が厚くなって内腔が狭くなります。
この過程では、痛みや痒みなどの自覚症状はほとんどありません。内壁が凸凹になり、血流が乱れると、血液は傷を塞ぐために血栓を形成します。血栓が形成されると血流が遮断され、栄養と酸素が十分に供給されなくなります。これが心臓の血管で起これば心筋梗塞となり、突然の胸痛が発生し、脳の血管で起これば脳梗塞となり、手足の麻痺や言語障害が生じます。
動脈硬化を予防するためには、生活習慣の改善が重要です。例えば、健康的な食事、定期的な運動、適切な体重管理、喫煙の中止、そして血圧や血糖値のコントロールなどが効果的です。また、定期的な健康診断を受けることで、早期に動脈硬化の兆候を発見し、適切な対策を講じることが可能です。
認知症
物忘れに関する不安を抱える方は多いかもしれません。例えば、「昨日テレビで見た俳優の名前が思い出せない」「大切な物の置き場所を忘れてしまった」「漢字が書けないことが増えた」などの経験は、多くの人にとって日常的なものです。しかし、こうした物忘れは一般的なものであり、認知症とは異なるものです。年齢と共に物忘れが増えるのは自然な現象であり、特に現代の情報過多な社会では、記憶力の低下を感じることが増えることもあるでしょう。例えば、昔は誰もが自宅の電話番号を覚えていたのに対し、今では自分の携帯番号すら覚えていない人も多いです。
しかしながら、認知症の問題は深刻です。2015年1月、厚生労働省の発表によれば、2025年には全国で認知症を患う人の数が700万人を超えると推計されています。これは、65歳以上の高齢者のうち5人に1人が認知症と診断されることを意味します。2012年の時点で認知症高齢者の数は約462万人とされており、約10年で1.5倍にも増加する見込みです。
そのため、物忘れが気になる場合は、早めに専門医の診察を受けることをおすすめします。早期発見と適切な対応が重要であり、当院では認知症の診断と治療に対応しています。心配な症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
認知症の診断をするために必要な診察
認知症の診断のためには、以下の検査と診察が必要です。
- 問診および身体診察
- MRIやCTなどの画像検査
- 血液検査
- 心電図検査
- 認知機能検査
家族の認知症を早期発見するために
もしご家族やご友人に気になる症状があり、以下の項目に該当する場合は、早めの受診をおすすめします。
- できごとを完全に忘れてしまう
- 料理の調味料を間違える、または判断力が低下する
- 物忘れをしているという自覚がない
- 時間や季節の感覚が薄れる
- 作り話をすることが増える
- 日常生活を一人で送るのが不安に感じる
脳神経外科でよくある疾患
- 脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)
- 頭痛(片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛など)
- 脳炎
- 顔面痙攣
- 一過性脳虚血発作
- 脳腫瘍
- 顔面麻痺
- 認知症(アルツハイマー型・レビー小体型・脳血管性・前頭側頭型)
- パーキンソン病
- てんかん
- 三叉神経痛
- 頭部外傷
- 脊髄腫瘍
- 脊椎・脊髄損傷
- もやもや病
- 脊髄小脳変性症
- 水頭症
など
脳卒中
脳卒中は、脳の血管が詰まったり破裂したりすることで引き起こされる脳梗塞や脳出血などを含む、脳神経の障害の総称です。脳卒中は突然発症することが多いですが、ろれつが回らなくなるなどの予兆が見られることもあります。脳卒中の主な原因には、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病があります。これらは動脈硬化を促進し、脳卒中のリスクを高めます。また、不整脈や睡眠時無呼吸症候群なども脳卒中の引き金となることがあります。
一過性脳虚血発作
一過性脳虚血発作(TIA)は、一時的に脳への血流が止まることで発生します。この発作により、めまいやろれつが回らない、片側の身体に麻痺が出る、痙攣が起こるなどの症状が現れますが、通常は短時間で消えます。しかし、この発作を経験すると、短期間で脳梗塞を発症するリスクが高まるため、迅速な診断と治療が重要です。発作が起こった場合は、速やかに脳神経外科・内科を受診し、一過性の段階で脳梗塞の発症を防ぐことが大切です。
脳腫瘍
脳腫瘍は、頭蓋内にできる腫瘍の総称です。脳に関連する細胞から発生する原発性脳腫瘍や、他の部位から転移した転移性脳腫瘍があります。脳腫瘍には良性と悪性があり、症状や治療法も異なります。代表的なものに神経膠腫(グリオーマ)があり、これは脳神経の遺伝子の異常によって発生します。脳腫瘍の症状には、頭痛、悪心や嘔吐、視覚異常などがあります。早期発見と適切な治療が完治の鍵です。
頭痛
頭痛は非常に一般的な症状で、緊張型頭痛や片頭痛などの慢性的なものが多いですが、命に関わる重篤な病気が原因となることもあります。特に激しい頭痛が続く場合は、くも膜下出血や脳腫瘍の可能性もあるため、専門医の診察を受けることが重要です。市販の頭痛薬を常用することで薬物乱用頭痛を引き起こすこともあります。適切な治療を受けることで、頭痛の頻度や強さを減らすことが可能です。
片頭痛
日本人の約8.4%は片頭痛持ちと言われています。痛みは「片側」だったり「両側」だったり、「ズキズキ」したりしなかったりと個人個人で多少異なりますが国際頭痛分類により診断基準が定められています。
近年では片頭痛に伴う労働遂行能力低下(プレゼンティーズム)が問題になっており、本邦では年間約3600億~2兆3000億円の経済的損失があるとも言われています。
片頭痛患者は「頭痛発作時」のみならず頭痛と頭痛の間の「発作間欠期」にも支障を抱えていることが近年指摘されており、また患者を取り巻く家族にも影響を与えることが知られています。
そのため頭痛に対する「適切な急性期治療(頭痛薬)」だけでなく、発作の頻度と程度を下げるための「予防療法」を行うことがあります。
本邦では2021年より「CGRP関連抗体薬」を用いた予防療法が行われており、効果を上げております。
当院では頭痛専門医でもある院長が、診断から「CGRP関連抗体薬」も含めた治療まで行っております。
三叉神経痛
三叉神経痛は、顔の感覚を伝える三叉神経が刺激されることで起こる激しい顔面痛です。40歳以上の女性に多く見られます。主な原因は、脳内の血管が三叉神経を圧迫することです。治療には、抗てんかん薬や神経性疼痛治療薬が用いられますが、必要に応じて手術療法も検討されます。
認知症
認知症は、記憶力や判断力が低下し、日常生活に支障をきたす状態を指します。認知症には、脳の血管障害による脳血管性認知症や、脳細胞の障害によるアルツハイマー型認知症などがあります。認知症は生活習慣病とも関連が深く、予防には生活習慣の改善が重要です。当院では、定期的な脳の健康診断(脳ドック)を行い、認知症の予防・治療に努めています。
てんかん
てんかんは、脳の神経が突然興奮し、大量の電気信号を発することで起こる発作です。全身性の発作や部分的な発作があり、意識がなくなることもあります。てんかんは、脳腫瘍や脳梗塞、外傷の後遺症などが原因で発生する場合があります。治療には抗てんかん薬が用いられますが、必要に応じて手術療法も検討されます。
もやもや病
もやもや病は、頸動脈が狭くなることで脳への血流が不足し、異常な血管群が形成される疾患です。この血管群は破れやすく、脳出血のリスクがあります。主に10歳までの子どもと30~40歳代の成人に発症し、原因は不明です。現在のところ根治する方法は解明されておらず、厚生労働省によって難病指定されています。