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後頭神経痛

後頭神経痛

後頭神経痛は、後頭部の片側または両側にズキンとするまたは刺すような鋭い痛みが生じる疾患で、感覚神経の異常反応に関連しています。大後頭神経痛、小後頭神経痛、大耳介神経痛の3つのタイプがあり、これらを総称して後頭神経痛と呼びます。神経障害性疼痛の一種で、激しい痛みが特徴です。あまり聞きなれない病名かもしれませんが、外来ではしばしば見かける疾患です。

原因

後頭神経痛の原因は、神経の圧迫など様々な原因で後頭神経が過敏になり外部刺激に対して異常に反応することにあります。具体的な原因は多岐にわたり、時には明確な原因が特定できないこともあります。神経の過敏性が痛みを引き起こすメカニズムは複雑で、個々の患者様によって異なるため、原因の特定が難しいケースもあります。

症状

後頭神経痛の症状は、後頭部に突然の鋭い痛みが現れることです。痛みは数秒から数分で、これを繰り返します。後頭部の片側、あるいは両側に、ズキンとするまたは刺すような痛みがでるのが特徴です。痛みの後にジリジリとした感覚が残ることもありますが、この痛みは脳卒中のような生命に危険を及ぼすものではありません。

検査

後頭神経痛の診断には、MRI検査などを用いて原因が二次性頭痛ではないことを確認します。特に、解離性動脈瘤や帯状疱疹が原因である場合、治療法が異なるため、正確な診断が重要です。

治療方法

治療方法としては、後頭神経痛が一時的なものであれば経過観察により自然に治癒することがあります。しかし、痛みが続く場合には、通常の痛み止めや神経障害性疼痛に対する薬が使用されます。また、後頭神経ブロックやビタミンB12の内服も考慮されます。いずれの治療も副作用に注意が必要です。痛みが強い場合や薬物治療が効果を示さない場合には、後頭神経ブロックが薬物療法に追加して選択されることもあります。

あたま・かお・くびの神経痛

神経痛とは、末梢神経が何らかの原因で圧迫や刺激を受け、その結果として支配領域に痛みが生じる症状を指します(末梢神経障害性疼痛)。頭部や顔面、首に起こる神経痛も存在し、代表的なものとして後頭神経痛、三叉神経痛、舌咽神経痛が挙げられます。これらは国際頭痛学会が定める「国際頭痛分類 第3版」にも「頭痛」の一種として分類されています。

神経とは

神経系は、脳と脊髄からなる「中枢神経」と、全身に広がる「末梢神経」に分かれます。中枢神経は主に情報の統合と処理を担当し、末梢神経は体の各部分への情報伝達を行います。末梢神経はさらに「運動神経」、「感覚神経」、「自律神経」に分類されます。運動神経は手足の動作を制御し、感覚神経は痛みや温度、触覚を伝え、自律神経は血圧や体温、内臓の働きを調整します。

あたま・かお・くびに起こる神経痛について

頭や顔、首には運動、感覚、自律神経を司る末梢神経が存在し、これらが圧迫や刺激を受けることで神経痛が発生します。神経痛の種類により症状が異なり、代表的なものには後頭神経痛と三叉神経痛があります。

後頭神経痛について

後頭神経痛は、後頭部や側頭部の感覚を司る神経に痛みが生じる状態です。主に首の付け根から後頭部にかけての頭皮や耳の後ろに突然の鋭い痛みが発生します。痛みは数秒から数分程度で、繰り返し起こることが特徴です。通常は1週間程度で自然に治まりますが、痛みの期間中は頭皮に触れる、髪をブラシでとかすなどの日常的な動作でも痛みが誘発されます。

後頭神経痛の原因は、首や後頭部の筋肉が緊張して神経を圧迫することが多く、時には帯状疱疹が原因となることもあります。特にテレワークなどで不適切な姿勢を長時間続けることが一因となることもあり、適切なデスク環境や姿勢の改善が重要です。また、首や肩の筋肉が緊張して血流が悪化することで起こる緊張型頭痛も併発することがあったり、緊張型頭痛に続いて後頭神経痛が出ることもあります。緊張型頭痛は数時間から数日続く重い痛みで、後頭神経痛とは異なるものの、両者が同時に生じることも少なくありません。

三叉神経痛について

三叉神経は顔や頭部の感覚を伝える神経であり、三叉神経痛はこの神経が分布する領域に鋭い痛みが発生する症状です。主な原因は、三叉神経の近くにある血管が神経を圧迫することですが、腫瘍や多発性硬化症などの他の疾患によっても引き起こされることがあります。三叉神経痛は比較的稀な疾患で、特に50歳以降の女性に多く見られます。

痛みは顔面の表面にビリビリとした電気ショックのような短く鋭い痛みが繰り返し現れ、洗顔や歯磨き、会話などの日常的な動作でも誘発されます。発作は1日に100回以上発生することもあり、各発作は数秒から数分程度続きます。三叉神経痛では、痛みのある部位の感覚が鈍くなったり、逆に過敏になったりすることがあり、これは片頭痛患者にもよく見られる症状です。

舌咽神経痛について

舌咽神経は、喉の動きや喉の奥、耳の一部の感覚、味覚の一部を司る神経です。舌咽神経痛は非常に稀な疾患で、10万人あたり0.2~0.7人程度の発症率です。特に50歳前後の女性に多く見られます。この疾患は、三叉神経痛と同様に、神経が血管によって圧迫されることが主な原因です。
舌咽神経痛は、喉の奥が刺激されると急激な痛みが生じるのが特徴です。痛みは食べ物や飲み物を飲み込む、会話する、咳をするなどの動作によって誘発されます。喉から耳にかけて、針で刺されたような鋭い痛みを感じることが多いです。この痛みは非常に激しく、生活の質を大きく損なうことがあります。

神経痛を診てもらえる診療科

神経痛は診断と治療が難しいため、専門的な診療科の受診が重要です。後頭神経痛、三叉神経痛、舌咽神経痛のいずれも、脳神経内科、脳神経外科、頭痛外来、ペインクリニックなどで診てもらうことが推奨されます。これらの専門科では、詳細な診断と適切な治療が提供されます。
神経痛の症状は、他の頭痛や顔面痛と混同されることがよくあります。例えば、片頭痛でも目の奥や顔にチクチクした痛みが広がることがあります。また、三叉神経痛の場合、歯みがきや咀嚼、会話などの口の動きで歯や歯肉に痛みを感じるため、歯科を受診するケースも少なくありません。しかし、歯科治療後にも痛みが続く場合は、神経痛の可能性があるため、専門科を受診することが必要です。